私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

そもそも姫がいる代が少ない北と南で女の話が出るとは。


確かに怪しいが・・・、


「それに西はどう絡んでくるの?」


私の話を聞きたいということは西絡みの話のはずだ。


「・・・南の後ろにね、西がいる可能性が出てきたのよ。あいつら協力関係にでもなってんじゃねーかな」


成程。それで私にね。


だけど、


「それは無いわね」


「どういうことだ?」


「・・・西は力が全てのイカれた奴らの集まりなのよ。余所者どころかテリトリー内の人間が道路で野垂れ死んでようが見向きもせずいつもの生活を送れる。そんな欲に忠実な連中なの。そんな西が協力関係?はっ、良くて使い勝手のいい捨て駒よ」


ひとまずこれだけ指摘してやればいいだろう。


この言葉に一人一人が顔を強ばらせる。


ほんと、イカれた奴らという言葉がピッタリだよ西の連中は。


「どうやら整理する時間が必要そうね?」


ガラス製のティーポットを持ち席を立つ。


情報としては頭にあっただろうが西の性根の腐り様は実感していなかったのだろう。仕方ないさ、なんせ西の情報はこの私、─────ノラが世間から隠しているんだから。


勘違いしてもらっては困るのが庇ったりしているのではなく、成り行きでそうなったということ。


いくら金を積まれたって西を守るために情報を隠すなんざしたくない。死んだ方がマシってもんだ。