私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

うー、ましろちゃんも驚いたよね。ごめん・・・。


手すりに捕まりながらへなへなと隠すように頭を下げる。これで隠せてるとは思えないけど・・・。


ましろちゃんが気になってまた視線を移せばいたずらっ子のような笑みを浮かべていた。・・・そんな顔もするんだ。


目を奪われていると横、縦、縦と口を動かす。


え、えーっと、


「み、て、て?」


「それだ!」


朔夜くんの言葉に納得したは良いんだけど、見ててってどういうことだろう?


疑問に思えばボールを持った相手チームの子がましろちゃんの横を通り過ぎようとしていた。


はず、なんだけど。


気づけばその子からボールは消えていて、


それと同時にましろちゃんが動き出した。


いつの間にかボールはましろちゃんが持っていて綺麗に人の間を抜けていく。それだけでも凄いんだけど、時間が足りない。皆そう思っていたと思う。


相手チームの子もそう判断したみたいでこれ以上ゴールに近寄らせないようにましろちゃんの周りを固めてる。


皆、時間だけが経っていくと思っていた。





5、


ましろちゃんはくるり、合間を抜けたかと思えば踵を重心に体制を変えて、





4、


ボールを胸元に運んで、





3、


ゴールへ腕を伸ばした。





2、


ボールは弧を描いて、





1、


そのままゴールに入っていき、





0、


パシュッ、


「ピ────────────ッ、!」


ゴールと共に試合終了のホイッスルが鳴り響いた。