私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

周りの視線に合わせコートを見れば教師に運ばれる生徒の姿があった。


確かにあの状態では続けられそうにないだろう。


「綾波さん!」


早々に興味が薄れまた一眠りしようとしたところでタイミング悪く名前を呼ばれてしまう。


今日はもう昼寝は諦めた方がいいらしい。


「委員長?何か用?」


「急で申し訳ないんだけど、今怪我しちゃった子の代わりに出てもらえないかな?綾波さんだったらバスケも得意なんじゃないかなって思ってさ」


何故そう思うのか。こちとらもうこれ以上動きたくないっての。


「ましろちゃんバスケにも出るの!?」


そんな輝いた目で見ないでよ・・・。


「出てもいいけど、何もしないわよ?」


私が断ることで優里のみが参加する。それだけは避けたく渋々了承し気乗りはしないもののコートへと向かう。




試合中だったこともあり本日一番の視線の数だ。


よしてよあんたらも何期待してんのさ。


そういう期待の目はトップの皆様だけで十分でしょうに。


「はぁ・・・」


どうしようかねー。





首の後ろを掻きながら持ち場につき、試合再開の合図が鳴った。