私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「あ、鞄ぶつけちゃった子よね?あの時は本当にごめんなさい」


「大丈夫ッスよ!むしろそのおかげで覚えてもらえて光栄ッス!」


「そ、そう?」


なんでそんな尊敬の眼差しで見られてるんだろうか。


「2人もすごい活躍だったな」


「昴さんにやられちゃいましたけどね」


「俺は文さんに」


会話を横目にコートを眺めていれば藤城と瑠璃川が会話しながらこちらに向かって来るのが見える。


次は負けないぞなんて瑠璃川が藤城に向かって言ってるんだろうな。


・・・あーやばい、限界かも。


「ましろちゃん眠い?」


「・・・ん」


「ふふ、可愛い。移動する時起こすから寝てて大丈夫だよ?」


なんかこの前から子供扱いがすぎるんじゃないか?まぁ、優里なら嫌な気しないけど。


その言葉を合図に私は瞼を閉じた。









「───、────なっ!?」


「───、───ろう」


「・・・ん?」


どれくらい経っただろうか。周りが騒がしい。
先程までも騒がしかったが少し状況がちがうような。


「あ、ましろちゃん。起こしちゃった?」


「ううん、それよりも何かあったの?」


「ああ優里ちゃん達のクラスの子が怪我しちゃったみたいで」


「見てて痛そーだし続けるの無理じゃない?」