私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「次、こっちがサーブよね?私打ってもいい?」


「う、うん」


同じクラスの子からボールを受け取りながら位置に着く。


いやね、私もここまでするつもりはなかったのよ?


無難に動いて優里のためにそれなりの結果を残せたらそれでいいかって。ただ流石にこんな事されて黙っていられないわけですよ。


「せんぱーい」


「・・・何よ」


「素人相手にさっきの、恥ずかしいと思いません?」


「あらぁ、なんの事かしら?」


くすくすと、


嫌味ったらしく複数人で笑う女。


「わざとではないと・・・。それはそれでキャプテン務まってるなんて、あるのは運だけですか?」


「・・・あんた、ムカつく」


「それはこっちのセリフなんですけどねー」


あんたらがそういう態度取るなら遠慮なく行かせてもらいますよ。


サーブを打つのは久しぶりだけど支障はないだろう。




周りが不安そうな顔をする中ボールを上に投げ、


数歩ボールに合わせて助走を付け、ボールに向かって腕を伸ばす。





ボールの動きを逃さず的確に手を振り下ろし、相手のコートへとサーブを打った────。