私は‪✕‬‪✕‬を知らない I










「それでは皆さん怪我のないよう────────」


えー、やってまいりました球技大会当日。


実行委員の挨拶を聞きながら正直退屈だなとは思う。


今近くに優里居ないしね。


どうしても背の順で並んじゃうと離れちゃうんだよ。優里は前から数えた方が早いし、私は女の子の中だと一番後ろだから。


背の近い瑠璃川は優里のすぐ近くにいるし周りから手を出される心配もそんなにないだろうしね。


「うおー!楽しみだー!!」


「だな!A組にもB組にも負けねぇぞ!」


開会式が終わっても落ち着きのないこの2人の前ではそんな事言わないけど。


「はしゃいでんねー」


「文は運動が好きだし優里ちゃんはこういった行事にはあまり参加してこれなかったからな」


「ほら、種目の時間割が張り出されているそうですから確認しに行きますよ」


浮き足立っている優里と瑠璃川を先頭に時間割表を確認しに移動を始める。


こいつらといると目立って仕方がない。こうして周りが邪魔しないようにと避けてくれるのは助かるが、これでもかと見てくるし。


「・・・どうした。人混みは苦手か?」


「・・・そうね。その上あんたらと居ると目立って嫌だわ」


「えー?それましろんが言う?聞いたよー、学校に危険物を持ち込んでいた生徒を決め技で抑えつけたって?校内じゃもう有名な話よ」