私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「へ?」


「ピアノと歌」


「あ、ああ!ありがとうっ」


顔に熱が集まるのが分かる。


こいつ毎回毎回いきなり爆弾を産むから心臓に悪いんだが!?


というか歌も聞かれてたのかよっ。


恥ずかしさで顔を覆ってしまいたい私とは反対にこいつは無表情のまま見つめる。


「そ、そういえばあんただけ?」


今度こそ話題を振る。こんな状況早く終わってしまえ。


「他の奴らは購買に行ったり食堂のレンジで弁当を温めたりしてる。すぐに来る」


「へ、へー。あんたは?」


「俺はコンビニで買ってきたやつだから」


そう言いながらソファに腰掛けるこいつ。


「ましろちゃん!おはよう〜!」


「おはよう綾波!」


「おや、おはようございますましろさん」


「おはようましろ。待たせちゃったか?」


「おはよーましろん。そっち居ないでこっち座りなよ」


「・・・はよ」


続々と律儀に挨拶をしながら入ってくるこいつらに返事をする。優里にも呼ばれたためソファに腰掛ける。


位置に関しては前回と同じなわけなんだが、私毎回皇と優里の間になるんだろうか。


疑問を抱きながらも各々用意したお昼に口をつけたため私も鞄からそれを取り出す。


サク、サク、と食べていく。


「そういえばましろさんにお願いしたいことがありまして」


「何?改まって」