ここらの地元は東西南北の4区で区切られ、それぞれに一校ずつ高校がある。


この旭ヶ丘(あさひがおか)高校が位置する東。
4区の中で一番領土が広くここらでも比較的治安のいい場所だ。四校の中で最も偏差値が高いこの学校が東に置かれたのは必然だろう。


そして中立の立場である南と北。


最後に盗み、薬、強姦、殺人、例を挙げればキリが無い法律なんざあって無いようななんでもありの無法地帯である、西。


それぞれ地元大好きマン?って言えばいいんだろうか。


まぁ、余所者を嫌うんだ。


4区同士でも例外はなく基本的にお互いを牽制し合っている。だから中立の立場である南や北なんかがある。


ここまで言えばお分かりだろうか。


そんな中で転入なんざ異例でしかないんだ。


しかもまぁ、2年の4月の中旬という中途半端な時期にね。


本当は新学期と同時に来る予定だったが面倒だったため気づいたら今日になってた訳だ。


出席日数?ンなもんあいつがどうにかしてくれるだろうよ、はは。


「はぁ、」


平凡な生活を送りたいのにこうなると目立って仕方がない。これを面倒と言わずなんて口にすればいいんだ。


「おーい、入ってきてくれ」


また思いに耽っていれば担任の声が聞こえる。


そうだここさえ乗り越えれば後は楽だ。






覚悟を決めた私は足元に置いていて鞄を拾い上げ教室に向かい足を進めた。