私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「えっと、どちら?」


「俺、同じC組の小柳 一(こやなぎ はじめ)。クラス委員長やってるんだよね」


私の問に屈託ない笑顔で返す委員長。どうやら中身も爽やかイケメンらしい。


「来週球技大会があるんだけど、その出場項目のお知らせ。出場する生徒の提出が昨日まででさ・・・、意見を聞かずに決めちゃってごめん」


そう言って渡された紙にはバレーとドッヂボールと書かれてある。


その件に関しては私が100悪いため気にしないで頂きたい。むしろ私の事も放置せず考えてもらって申し訳ないぐらいだ。


「私が悪いから気にしないで。そもそも球技大会出るつもりもないし」


手間を掛けさせて悪いが、球技大会がある事を知ったところで出る気は無い。


「それでもいいよ。ただ、こういうイベント事はクラス皆で参加できたら思い出に残るかなーって思うしさ。当日その気になったら参加してよ」


わーお、その言葉には嘘偽りが無いようで驚いてしまう。嫌味を一切感じないところとかもな。


世渡り上手というか、人から好かれるタイプだな。特に年上から。


「おーい!部活遅れるぞー」


「わりぃ、今行くー!ごめん、行かなくちゃ。良かったら考えておいて」


それじゃ、と恐らく部活仲間である生徒に駆け寄る委員長。