私は‪✕‬‪✕‬を知らない I






大勢の生徒が帰宅しようと下駄箱から外靴に履き替える中、私も同じくローファーを下駄箱から取り出す。


先日の女子生徒がスタンガンを所持していた件をヒメに報告した際、他の人の下駄箱と間違えて履いて帰ってしまうのを防ぐためにロッカーと同じように鍵を付けてもいい規則ができたと知らされた。


そんなのは表向きでいじめが行われないための対策だと知っている。私はそれに便乗して下駄箱を利用できるようになった訳だ。


毎回毎回鞄にしまって移動するの何気にめんどくさかったから大変助かる。


他にも一定の生徒向けに手紙やらプレゼントやらを突っ込んでいく人間も多かったという理由もあるようだが。心当たりがありすぎるな・・・。


人気があるのも大変なんだとしみじみする。


とまぁ、本日は下校時間までに優里に見つけられなかったためいそいそと帰り支度をしているところである。


空き教室でずっと寝てたからなー。流石の優里でも難しかったらしい。


「綾波さん!」


昇降口を出ようとしたタイミングで声を掛けられ足を止める。


声の主は茶髪の爽やかイケメンだ。あいつらを筆頭に、何気にこの学校顔面偏差値高いよな。


そんな事は置いとくとしてこいつは誰だ。


少なくとも私の知り合いに爽やかという言葉が似合う人間は居ない。


同じクラスで見たことがあるような気がしなくもないが・・・。