お前女嫌いのはずだろうが。


「お前らだろ優里をいじめてる主犯格は。体育の時間なんかで俺が傍に居ない時ばっかりを狙いやがって・・・!」


は・・・?


この場から離れようとタイミングを伺っていれば聞き捨てならない言葉が瑠璃川から聞かされる。


この学校では体育の授業は男女別で行われることが多い。その分他のクラスも合同で行われる。そのタイミングでしか嫌がらせはできないため集中的に狙われたのだろう。


授業中にもいじめが行われていたなんて少し考えれば分かるはずなのに・・・。


「えー?」


「何言ってるのかわかんないよー」


「そうそう。証拠とか無くない?ま、春野さん女子受け最悪だけどさー」


その言葉に怒りが込み上げる。


優里だって人間だ。ちゃんと意思がある。お前らが小さい事だと感じているいじめもあの繊細な心は深く受け止めて根強く蔓延っているんだ。


それに気づかなかった私も同罪だ・・・。


何が友達だ。相変わらず私は自分のことしか頭にない。


「ねーねー、そりよりさぁ」


リーダー格と思われる女が1歩前に進む。


「く、来んな!」


そのまま外壁へと1歩。また1歩と追いやられていく瑠璃川。近づかれるにつれて額には汗が浮かんでいた。


1人でどうにかしようとするから・・・。


それよりもこの状況をどうにかしないと・・・。


普段は止めになんか入らない。


けどそれは流石にいけないでしょうよ?