私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「なら答えはノーだ」


「・・・理由を聞かせて貰えませんか。貴方なら彼女の情報は手に入ると、そう聞いてます」


「あいつがそんな事を・・・」


その言葉は小さく消えていく。


「理由は簡単だよ。それをあいつが良しとしないからだ。俺はあの女の意志を元に動くからな」


「随分とあいつにご執心だな」


「はは、どうとでも言え」


ノラは後ろ姿を向ける。


それだけ言って去る気?かといってこの状況じゃ捕まえられるとも思えないし。


今回も収穫無し、か・・・。


「ただまぁ御足労頂いた代わりに提案。お前らは更にあいつについて知りたいと思うだろう。その時はお前らの姫様を連れて来な」


「優里さんを?」


「そんな事する訳ねーだろ!」


なんでここでゆうちゃんが出てくんだよ。
何のために今俺達が動いてるかなんて分かっているだろうに。


分かっててそれを条件にしているんだ。


「"そんな事"しても知りたくなるよ、きっと。本当はそうなる前に関わりを切るのが1番いいけどね、ろくな事にならないよ」


じゃーね物好き共、と吐き捨てながら数秒月明かりが雲によって消えたタイミングでノラは姿を消した。


先程の言葉がどこか引っかかる。


なんだ?


理事長とショウさん・・・。


2人はましろんと距離を離そうとするけど、その反面どこかで関わりを持たせようとしている。


けどノラは違う。


ましろんと俺達の間に線を引きたがっている。


この違いはなんだ・・・?


ノラが居た場所を見つめるも答えは出なかった。