私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

あれこれ考えていれば目的地に着いたようで足を止める。


目の前には壁があり、周りにはゴミ箱と更に古びた街灯しかない。


チカ───、チカ───、


ッ、


灯りが消えた。


月明かりのみが照らす中、呑気に寿命かーなんて考えていた。





「おや、随分とお早いご登場じゃないか」





その声は突如として響いた。


っ、


急いでその声の主を探せば、目の前の外壁の上にそいつは居た。


黒いパーカーにズボン、白いスニーカーと至ってシンプルな格好だが僅かに覗かせる恐ろしい程に整った顔には何も言えなくなる。


短い白髪に碧眼という特徴的な顔だが、女とも男とも見てとれるそれすらも神秘的に感じる。


顔も声も中性的で分かんねーけど、男・・・なんだよな?女の子だったら結構好みかも・・・?


まてまて、何考えてんの俺?それどころじゃ無いでしょ。


「君がノラかい?」


「こんな場所に他に誰がいるってんだよ」


「いや、ごめん。凄腕の情報屋だと聞いてたのもあって想像よりも若い子が来たから・・・」


「高く買ってくれてるようで何よりだよ。大方あの馬鹿から連絡先だけ渡されて何も聞かされてないんだろ」


ショウさんと面識あるのか?あの人そんなこと一言も言ってないんだけど。


「依頼内容は転校生について。で、おーけ?」


こくり、


誰かが頷く。