私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

足首に負担のないよう体勢を整え着地をすれば、大量の口を開けて固まったままの不良達。虫入るぞー。


不良共を他所に目的の物を探す。あ、あった。


近くに頭を抑えている水色髪の少年がいるがこの子に当たってしまったんだろう。


「君、私の鞄当たったわよね?ごめんなさい。怪我ない?」


「へっ!?い、いや!大丈夫っス!」


「・・・そう。なら行くわね」


この子には申し訳ないがとっととトンズラさせて頂こう。愛想笑いを浮かべ帰宅路へ走り出す。


「あ、待て!」


何人か追いかけてくるのが分かるがもう遅い。着地と同時に動いてたらまだ可能性はあっただろうけどね。


更にスピードを上げて走る。


さーてまだ時間はあるし帰ったら昼寝だ。





















「笑顔の破壊力やば・・・」


少女は知らない。


軽い気持ちで浮かべたその笑顔で少年達が悶えていることを。





「飽きないな、あいつは」


少女は知らない。


きっと彼らの仲間も知らない。


金髪の少年が物欲しそうに彼女を見つめていた事に。