私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

私がそう簡単にさせるとでも?


否、だ。


校門の向こうには大量の不良達。というか授業中だろうにこんな事してていいのか親御さん泣くぞ?いや既にグレてるし今に始まった事じゃないか。


校門の強行突破はリスクがあるな。


少し横に視線をずらせば外壁が目に入る。これだ。


レンガが埋め込まれたそれは凹凸があり僅かに足を引っ掛けるのには十分だ。


そうと決まれば話は早い。スマホと財布しか入っていない鞄を壁の向こうへと投げる。


あだ!と蛙が潰れたような声が聞こえたがそれは申し訳ない事した。・・・許せ元々はお前達の上が悪いんだ。


数歩後ろに下がり距離を取り再度音楽室へと顔を向ける。


お行儀が悪いのは百も承知だが舐められては困るのでね。


優里以外に中指を立てて口を動かす。


(捕まえられるならやってみなさい)


驚いた顔のこいつらにはもう用はない。


この後の行動に支障がない範囲で力を入れて外壁に向かい走る。朝からこんな事したくないんだがなぁ。


壁に届く範囲まで来れば片足に力を入れて凹凸へ足を伸ばし引っ掛け1回、2回、3回と続ければ外壁の上へと上半身が乗り出す。


すかさず外壁のてっぺんを掴み、腕を軸に体を外壁の外へ押し込む。


そう、外壁を飛び越えるという注目真っ只中の行動をしてしまったのだ。あー嫌だね平凡な学校生活はどこへやら。