だがそれを私相手に口にするのは悪手だ。








「あんな奴らと仲間だなんて二度と口にするな」








冗談でも笑えない。
あいつらを嫌っているのは何もお前らだけじゃないんだ。


足を組みこいつらに向かって吐き捨てればごくりと誰かが喉を鳴らす。


青ざめる者や震える者。悟られぬよう顔に出さずとも警戒を強める者。警告はしっかりと効いているようだ。


その中でも一際震える横の人物に目をやれば声が漏れぬよう泣いていた。


「ねぇ春野さん。こんな私でも友達になりたいの?」


自分でも性格が歪んでいるなと苦笑する。わざわざ聞かなくても分かるというのに。


十分に私の異質さには気づけただろ?


だからお前は踏み込んで来ようとするな。お互いに線引きして今まで通りの生活を送る、それでいいじゃないか。


袖で勢よく目元を拭ったかと思えばくるりとこちらに向き直る少女。


涙を浮かべていたその瞳はどこまでも輝いていて、


「今でも友達になりたいよ」


「っ、」


「さっきの、怖いって感じた。けどそれも私が友達になりたいと思った綾波さんには変わらないから」


『貴女っていう存在には変わりないから』


そんな事を言ってのける。


変わらない、変わらない・・・。


「・・・はっ、あはは!」


「え、えっと?」


そんな事を言う物好きがまだここに居たとは。


「いいねいいね、気に入った」


少しばかりの暇潰しだ。ならこの子に付き合ったっていいじゃないか。