side,昴


「未知数な人でしたね」


ましろさん達の姿が見えなくなったのを確認しぽつりと呟いた。


「まさか理事長も絡んでくる話とはね」


それぞれの高校はその区のいわゆる拠点のような役割を担っている。メンバーは在校生か卒業生のどちらかなのだから。


我々は校舎を様々な用途で利用できるとして、学校側は問題児を代わりにまとめるとしてお互い一種の協力関係を築いている。


贔屓目で見ているとも言えるだろう。


そんな学校側の主とも言える方が1人の生徒を特別扱い。なんなら敵対する意図さえ見えた。


「なあ」


文が優里さんに問う。


「なんであんなやつと友達になりたいんだ?」


『友達になりたいって言われたから断ったのよ』


彼女は確かにそう言った。


まさか優里さんがそう口にする相手がいるなんて。過去の件があるからここにいる全員に緊張感が走る。


こういった類に罪悪感を感じている文はより敏感に反応するため先程のような状況になったのだろう。


「一目惚れ・・・って言うのかな?」


「え!ゆうちゃんあの子のこと好きなの!?」


「あっ、違う!そういう一目惚れじゃないよ!?上手く説明できないんだけど、あの雰囲気というか空気というか・・・とても澄んでて惹かれるの。みんな、特に朔夜くんに似た何かを感じたの」


まっすぐ強い意志を持って先程までましろさんが居た場所を見つめる瞳はとても輝いていた。