私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「悪いな」


「ごめんなさいお店の前で騒いじゃって」


カウンターには50代すぎのおじいさんがいた。


「いいんじゃよ、わしこそ何もできなくてすまんのぉ」


気前のいいおじいさんに甘えて注文をする。人数分のかき氷はすぐに出てきて会計をしようとすれば皇に先に払われてしまう。


「自分の分ぐらい払うわ」


「いらない」


「・・・」


これ以上お店の前を占領する訳にもいかないため納得いかないものの財布をしまう。


「ご馳走様」


「ん」


自分の分のかき氷を口にしながら来た道を皇と歩く。ちなみに私が頼んだのはブルーハワイだ。


優里と私の分以外は全部皇に持っていかれてしまった。荷物持ちまでさせてしまっていいんだろうか・・・。


ちらりと皇の方を見れば目が合ってしまう。


「食べたいのか?」


「い、いや!かき氷ってシロップは同じだと言うし実際どうなのかなって!」


苦し紛れな言い訳にどうか突っ込まないでくれと願う。


皇はかき氷を一口すくってこちらに向ける。


食べろということかこれ!?


たとえそうだとしてもこっちだってストローあるんだからかき氷を差し出せばいいだろうが・・・!





固まる私にこいつは首を傾げる。


どうやら正解のようだ。


「ああ、もうっ!」


私はいちご味のかき氷を口にした。


「どうだ?」








「・・・わかんない」


絞り出せた言葉はそれだけ。


私の顔が赤くなっていたのは暑さのせいだ。