私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「連れも居るから結構よ」


顔も見ずに答える。


「いいじゃんか」


「連れって女の子?その子も一緒に遊ぼうよ」


私が見向きもしないせいかチンピラBが私の手首を掴む。


掴まれた瞬間に感じたのは嫌悪という文字。こいつから伝わる体温やその顔から一刻も離れたい。


暴力沙汰というのはよくないんだろうが先に失礼な態度をとったのはお前らだろ?





掴まれていない方の拳を握りしめ一発お見舞いしてやろうとした所でチンピラBの腕があらぬ方向へと曲がる。


「皇?」


いつの間にか横にいた皇が更に力を込める。耐えきれなくなったのか、私の手はいとも簡単に離される。


「失せろ」


その一言に周りから黄色い歓声があがる始末。「チッ、男連れかよ!」なんて言い残して二人は立ち去る。どこまでもテンプレ通りな奴らだ。


こいつらだって顔もスタイルも悪い訳じゃないんだが如何せん相手は皇だからな。


「大丈夫か」


「ええ。それよりもなんでここに」


「お前が一人で行ったからついて行ってほしいって優里が」


「そう、ありがと。助けられてばっかね」


「あんなの助けたうちに入らないだろ」


皇はそう言って横に並ぶ。





すっかり人が居なくなってしまった列を抜けお店の前に着く。