私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「おねーさんも来てくれたんだね」


「・・・ええ」


「約束、守ってくれてありがとう」


「・・・どういたしまして」


なんだこのぎこちない会話は。


「綾波、琉生にも会いに来てたのか?」


「・・・この件は水嶋だけの話じゃないから」


「ここ最近よく来てくれてたんだよ。色んな話聞いてくれたし、」


手術のことも。


そのためにお兄ちゃんを雇いたいことも。


病気が良くなったら一緒に住んで、学校に行かないかと提案したということも。


最近会えないお兄ちゃんをまた連れてくると約束したことも。


琉生は話してくれた。


綾波はその間黙ったままだった。


きっと海斗さんと違って小さい琉生を口止めなんて出来なかったんだと思う。





最後になるにつれて琉生は涙を流しながら話していた。


「お兄ちゃんにばっか辛い思いをさせて、ごめんっ」


「そんな事ない!辛いのは琉生だってそうじゃん」


ここは2人きりにさせるべきだろうと俺達は病室を出た。





「あの子はお金の出処について薄々気付いていたみたいだったわ」


同じ階にある休憩スペースでそれぞれ自販機で買った飲み物を口にしながらイスに腰掛ける。


「我儘一つ言わない子だったからな。同年代の子と比べて察しがいいと言うか賢い子なんだと思う」


「・・・そうね。下の子って思ってる以上に上の子を見ているものよね」


そう、なのかな。俺は兄弟が居ないからよく分かんない・・・。


けど奏達を見ているとこの話も納得できる気がする。





それだけじゃない。きっと朔夜達だってそうなんだよな・・・。