そこに書かれていたのは、


「姫野、海斗・・・」


あれ、姫野って・・・。


「奥さんってまさか理事長?」


誰かが呟いた言葉に海斗さんは頷く。


確かに前、綾波が理事長と親戚だって言ってた・・・。


そんで昔からよくして貰ってる海斗さんは綾波の担当医で親戚でって、


「世界って狭いな!?」


思わず出た大きな声に急いで口元を抑える。やっべ、ここ病院だった!





「そういうことー。お前達、ウチの子頼んだよ」


「誰がウチの子よ。アンタに絡まれたことヒメに言うわよ」


「や、やめてよ!?お前の事になるとアイツすーぐ不機嫌になるんだから!」


泣き付こうとする海斗さんを朔夜が止める。


「俺達が報告してもいいんだが?」


「ちょいちょい!そういや俺に用があったんでしょ?」


「あー、そうそう」


何かを思い出したかのように白衣のポケットを探り一枚の紙を奏に差し出す。


なんか雑だな・・・。


「何?この日付の一覧は」


「弟の手術が可能な日。この後会いに行くんだろ?本人と話して決めておいてくれや」


「え、だってまだ手術費振り込んでないのに・・・」





「・・・おめー、まだ話してなかったのかよ」


「チッ、用ってそれ?そんな恩着せがましいことするんだったら席を外してたわ」


「ましろん、どういうこと?」


えっと、何が起きてるんだ?


「・・・先週にはもうこいつが振り込んでたんだよ」


「俺がましろんの話を受け入れても受け入れなくてもそうするつもりだったってこと・・・?」