私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「まず、どうして綾波があの場に居た?」


「その事なんだけど、俺の事情から聞いてもらった方がいいね」


あたしの考えは筒抜けだったの?って疑いたくなるくらいに話題は決まった。





奏くんは中学の卒業式の日に何があったかという所から話してくれた。薄々気付いていたものの触れる事が出来なかった事情も。


そしてここ最近会えずにいた件についても。心配をかけてごめん、と謝ってくれた。


謝らないでと思った。あたし達の方こそ、触れてほしくないだろうからって動かずに居たんだから。


「そんで今日ましろんに捕まってさ。洗いざらい吐き出させられて、・・・住み込みで働かないかって言ってくれてさ。悩んでた事ぜーんぶ解決しちゃったってわけ」


「これで雇用関係ができたわけ。あとは水嶋に連れて行くよう言って、あとはご存知の通りよ」


淡々と話すましろちゃんだけど、凄いよ。あたしや文くんだけじゃなくて、奏くんまでも助けてくれたんだね。


この話を聞いて2人を責められる人なんて居なかった。