私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「そんないいよ!突然お邪魔しちゃったわけだし」


「冷蔵庫何も無いから食べ物1つ出せなくてね。これぐらいさせてよ」


こんな会話をしていればぐ〜っ、とお腹の鳴る音がリビングに響いた。


や、やめてよ!!なんでこんな時に鳴るかなっ!?


急いでお腹を抑えるけど顔は熱を帯びてて仕方がない。


「それではましろさんが良ければ何か食べ物を頼んでも?きっと話は長くなるでしょうし」


「構わないわよ」


も、申し訳ない。





私達の前にお茶の入ったグラスを置いていくましろちゃん。置き終わってまた台所に戻ろうとするその手を朔夜くんは握って止める。


「その腕、さっきのか」


腕・・・?


ましろちゃんの返答なんて待たず袖を捲り上げたかと思えば、そこには包帯で巻かれた腕があった。


「あの時の・・・!」


思い返せばその箇所で振り下ろされるパイプを受け止めていた。男の人が振り下ろしたものを受け止めて怪我ひとつないなんて、あるわけないのに。


包帯越しにも酷く腫れているのが分かる。


「応急処置はしたんだからいいでしょ」


「ましろ、折れてる可能性だってあるんだし病院には行かないと」


「・・・」


「護衛の子の様子を見に明日病院行くから一緒行こ?琉生にもましろんの事紹介したいし」


病院には行きたくないのかすぐには了承しなかったましろちゃんだけど、奏くんの言葉で渋々頷いた。


ましろちゃん、琉生くんの事も知ってるんだね。


さっき一緒に住むって言ってたけど、あれはどういう事なんだろ。