私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

ましろちゃんはそのまま僅かに後ろに倒れたから何事かと慌ててしまう。


「バウ!」


!?


い、犬・・・?



「こら、はしゃぎすぎよ。帰りが遅くなったのは謝るから」


そこにはましろちゃんの頬を舐めながら尻尾を振るハスキー犬が居た。


お、大きい!あたしの腰ぐらいの大きさがあるこの子をましろちゃんは撫でながら立ち上がる。


「この子がいるからね。ノエル、大事な客人だから失礼のないようにね」


「ワン!」


「か、可愛いなぁ。撫でてもいいか?」


「大丈夫よ」


龍二くん大の犬好きだからなぁ。多分抑えられなかったんだと思う。


ノエルって言うんだぁ、あたしも後で触っても大丈夫かな・・・。





「どうぞ入って」


「お、お邪魔します・・!」


玄関にリビング。通された場所はまるでモデルルームみたいだった。逆に言えばあまり生活感が感じられないというか。


勝手な憶測なんだけど、ここに居ることってほとんどないのかなーなんて思ったり。


リビングのソファで待つこと数分。ましろちゃんは戻ってきたかと思えば台所へと入っていく。


「お茶しか出せるものないけどいい?」