私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「む・・・」


頭を撫でるその手から離れようかとも思うが、優里相手ならいいかと目を瞑る。


間に合ってよかった。


「お、これがてぇてぇってやつ?」


「うるさいのが帰ってきたわ」


「では奏はここに置いて行きますか」


「ちょっと!久しぶりに会った幼馴染に対する態度それー?」


「奏には随分と心配させられたからな」


「それはごめんて!ちゃんとそれについても話すからさ」


ああ、この光景も久しぶりだな。本当に水嶋が帰ってきた。


辛気臭いあの顔なんかより何倍もいい。





「こちらの話も報告したいのですが、朔夜の家まではここからだと少し距離がありますね」


「仕方ない。できるだけ早く話をまとめて明日には共有しておきたい」


時間が時間だが上に立つ者たちは大変だな。


ここから移動するだけでも恐らく日付は変わるだろう。


この場所からだと・・・。


「なら、」


「?」





「私の家に来ない?ここからだと30分ぐらいで着くし」






私の発言に驚きを隠せないこいつら。


無理もない、散々隠して来たしな。


「い、いいの?ましろちゃん・・・」


「状況が変わったしね。それに水嶋がこれから住むんだし隠したところで無意味でしょ」











「・・・へ?」