side, 愛


初めてを捨てたのはいつだったか。


そんなの覚えていない。


外を歩けば強姦にあい家に帰れば父からの暴力。到底住みやすいとは呼べないところ、西。私はそこで産まれた。


それでも私はマシな方だと思う。


だって生きてるから。


暴力を振るう大嫌いな父も、何回かシタだけの男に「父がいるから頻繁には会えない」とだけ言ったら次の日に家に戻ったら殺されてた。


その時かも、イカれた街だということを再認識したのは。


(もう暴力振るわれないんだ)


血溜まりの中で倒れるている父を見てそうとしか思わなかった私も十分染まっている。





それからは男の家を転々として生活していた。両親に感謝するとすれば顔の整った姿で産んでくれた事ぐらい。


おかげで生活する事に困らなかったし、むしろ同年代の中ではいい生活を送れていたと思う。





暇だったから学校には通ってた。校舎は窓ガラスが殆ど割れてて破片が廊下に落ちっぱなしだしまともな授業なんて受けられないけど。


制服は可愛いしね。


中学に入学したばっかでこんな生活をしているせいか、心は常にぽっかりと穴が空いていた感覚があったのは覚えてる。








連休明けだったの。私の何もかもを変えた出会いがあったのは。