私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

こいつ小さいくせに結構力はあるんだな。流石に息がしづらくなってきた・・・。









「どうした」








怯える春野に瑠璃川に怖い顔を向けながら襟元を掴まれている私。そんな修羅場と言える場所に一つの声が落ちる。


やけに心地のいい声だった。


「朔夜・・・」


瑠璃川の向く方向に視線を向ければこれまた顔の整った男が4人。春野が姫なら、側にいてこのように私に対して怒る瑠璃川は幹部の1人と考えていいだろう。


そんな瑠璃川に対して対等で話し掛けるこいつらは、その他の幹部にトップ共か。


「こら文、女性に対して手を上げるのは良くないです。離してあげてください」


別の声に嫌々ながら捨てるようにこの手を離す瑠璃川。


尻餅ついたじゃねぇかこの野郎。


「こほ、」


思っていたよりも強く掴まれていたらしく咳き込んでしまう。


「大丈夫ですか?うちの者がすみませんね」


先程の声の持ち主であろう黒髪メガネの美形が手を差し出してくる。それを無視して私は1人で立ち上がる。


「んー?めちゃくちゃ可愛い子じゃねぇのよ。こんな子居たっけかー?」


その後ろから覗き込むように銀髪のその長い髪を遊ばせるようにまとめたイケメンが顔を覗かせる。一言で表すならチャラい、だ。


「いえ初めて見る顔です。ああ、貴女が噂の転入生の綾波 ましろさんですか」


「この子がいきなり転入してきたって連絡きた子?」