私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「期間はどれくらいですか」


「今は安定してるし、2ヶ月はあると見ていいだろう」


2ヶ月・・・。


無茶だと分かっているけど、なにもせず諦めたくない。








「あとはお察しの通り学校にも行かずお金を稼いでこんな状態よー」


気づけば空はオレンジ色に染まり始めていた。




思い返せばただの独りよがりだったかもしれない。


琉生のためだなんて言ってこれ以上家族を失いたくないだけなんだ。


「だからってあんたがこんなにボロボロになってちゃ意味無いじゃない。弟にそんな姿見せられる?」


そう言われればあの日以来琉生には会っていない。そんな事にも気付かないなんて。


「あんたは気付かないふりしてるだけでとっくに疲れてるの。テスト期間中だって、限界で休みたかったんじゃないの?だから皆に会いたかったんじゃないの?」


俺の肩を掴んでまっすぐ見つめるましろん。


皆の傍に居れてほっとしたあの時間を思い出して目頭が熱くなった。


ここ最近であの瞬間だけが生きた気がした。





「それにあんた矛盾してんのよ。夏休み諦め切れてないから勉強頑張ってたんでしょ」


苦笑するましろんを見て張り詰めていた糸は限界を迎えて切れてしまう。


溢れる涙を見せたく無くて勢いのままましろんに抱きつく。


離れなさいよ!と強引に離されるんだろうなって思ってた。