side,奏


「あちー」


照りつける太陽の中、目的地へと向かう。


あれから俺は皆と会っていない。今頃終業式が行われてるんだろうね。


明日以降は海や夏祭りに行ったりして馬鹿騒ぎするはずだったのに、と考えてしまうのをなんとか誤魔化す。


決めたのは自分だろうが。


まるであの子を責めるような考えを浮かべる自分に怒りが湧く。





「にしても公園で待ち合わせだなんて変わってんな」


普通はホテルの近くが多いのに。


そうこうしていれば目的地へと着く。


えっと、ベンチで待ってるんだよな?


中央の木の下にあるベンチへ顔を向ければそこに座る一人の姿があった。


後ろ姿のため顔は見えないがパーカーのフードを深く被って下はズボン・・・。お洒落してくる女の子ばっかり見てきたから少しびっくりした。


・・・まぁいいや、お金さえ貰えれば。


クズだって事は自覚してる。それでも今の俺にはお金が必要なんだ。


「ごめんねー、暑い中待たせちゃって」


へらへらと愛想笑いを浮かべて近寄る。


あれ、俺ちゃんと笑えてる?





「あら、やっと来たのね」





浮かんだ疑問はその声によって消される。


だって思わないでしょ?君がここに居るなんて。





「・・・ましろん」


驚く俺を他所に君は不敵に笑うんだ。