私は‪✕‬‪✕‬を知らない I






「少しいいか」


食事を終えリビングで休んで入れば、席を外していた皇と藤城が戻ってくる。


「皆さん以前より南の動きが活発になっているのは気付いていたかと思います。そして、南のトップが惚れ込んでいるという女の正体が分かったのですが・・・」


ちらりと優里と瑠璃川に一瞥する藤城。


優里達の前では言いづらい相手・・・?


「──────────、瀬戸沢 愛だそうだ」


その名に傍に居た2人が固まる。


「・・・瀬戸沢 愛?」


なんでその名前が。そしてこいつらの反応・・・。


点と点が繋がる直前で不思議そうに優里が声を掛ける。


「・・・ましろちゃん知ってるの?」


青ざめ震えている優里と瑠璃川。


「ごめん、思い出したくない事だと思うけど一つだけ教えて。瀬戸沢 愛って前に優里が話してくれた話の人間?」


いや、確認するまでもないだろう。


私の問いにその細い首は頷く。


あぁ、コイツがお前らを傷つけた人間か。


思い出せば優里にした仕打ちはあの女の常套手段だ。最近は水嶋の件ばかり追っていて考えがそこまで行かなかった。


ふつふつと怒りが込み上げるのを抑えながら口を開く。





「その女は西の人間よ。それも、七つの大罪の一人」