私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

恐らく私だけが気付いていたんだと思う。それも長くは続かない事に。





「ほら見て!赤点無かったよ!」


「俺も!」


「俺もー」


期末テストが返却され、答案用紙をリビングのテーブルに並べる3人。


今朝順位と点数を確認したから既に分かっていたものの、答案用紙には赤点は一つも無かった。


学校に居る間は夏休みだとあんなにはしゃいでいたのに、皇の家に着いた途端これだ。恐るべし執着心。


「えー、私が勉強できる理由よね?」


「そうだ!」


本当に参考にならないと思うんだがなぁ。


しかも、


「なんであんた達も聞き耳立ててるのよ」


ソファに腰掛けるこいつらを指差す。残り3人もそわそわし過ぎなのよ。


「今回も貴方に負けてしまいましたからね。是非その秘密を教えて頂きたいなと」


「はは、ごめんな。ましろが自分の事話すなんて珍しいだろ?やっぱり気になって」


谷垣の言葉に静かに頷く皇。


「はぁ・・・」


溜息が出るのは致し方ないだろう。


「・・・ハイパーサイメシア」


「ハイパーサイメシア?」


「超記憶症候群と書いた方が分かりやすいわねこれが勉強できる理由、かしら。あとは前の学校で高校生の範囲は終えてるのもあるわ」


後者の理由もありテストで満点を取るのは必然と言えるんだ。