私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「あなたを知りたいって思ったから──っ!」





『これだけ私を振り回してッ、はいそれと捨てる気!?貴女の事、知りたいのよ───っ!』





グラり、視界が揺れた。



「諦めないよ」





『諦めないわ』


泣きそうな顔でそれを必死に堪えながら下手くそな笑顔で宣言される。


その笑い方がそっくりで。


あぁ、駄目だ。






私はこいつといちゃいけない(・・・・・・・・・・・・・)






脳内に警告音が鳴り響く。


思い出せ、こいつは、


こいつには、


どんな言葉が刺さる?


どうすれば離れる?


どうすれば離れてくれる?


「頼りきり、東の子達、仲間、尊敬・・・、」


「へ・・・?」


大丈夫。これは、


私の十八番だから。









「ああ、貴女ここのお姫様(・・・)?」









「ひゅッ、」


喉を鳴らし青ざめる春野。その反応は肯定以外の何ものでもなくて。


ああ、今度は警戒してくれるんだな?


これが正解なのだと理解したあとは簡単だ。相手の立場に寄り添うように、より刺さる言葉を紡いでいくだけ。