私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

放課後、先程のやり取りを報告する。


会話の詳細は省いて、あいつの様子を掻い摘んでではあるが。


「奏が・・・」


「あれから少し調べたのですが、奏は最初に休んだ日に中央病院へと行っているようですね」


「体調悪いって言ってたし、病院行くのは自然じゃない?」


「いえ、診察ではなく面会です」


「面会・・・?」


面会という言葉にこいつらは心当たりがあるようだ。知り合いが入院しているのか?


「それじゃどうする事もできねーのかな」


「どうして・・・?」


このまま放っておくのか?


「多分、奏くんが一番触れて欲しくない話だと思うの・・・」


一番触れて欲しくない話・・・。





『大切過ぎてこの関係が壊れるのが嫌で話せない事だってある』


帰宅してからもループし続けるこの言葉。


こいつらだからこそ触れて欲しくない話・・・。


ここはやはり距離を置くべきなんだろう。


そんな事は嫌でも理解しているんだ。


それでも、





最後にみたアイツの顔が離れないから。





スマホを操作しながらある所に電話を掛ける。


『・・・久しぶりだな』


ワンコールで出た相手に相変わらずだなと思いながら確認するべき点を頭に思い浮かべる。


「聞きたい事があるんだけど────、」