私は‪✕‬‪✕‬を知らない I







「やわらか・・・い?」


「・・・目が覚めた?」


先程よりかは顔色が良くなった水嶋に問う。


「何、この状況」


困惑する様子だが無理もないだろう。


現在の状態を簡素にまとめると中庭のベンチにて、私がコイツを膝枕しているのだから。


私だってやりたくてやっている訳じゃない。ただ私しか居ない状況なら致し方ないというものだ。


「少しは寝れた?」


時間としては1時間程だ。


あの様子でこの短い時間しか寝れないというのは、やはり日常的に寝れてない証拠。この質問だって無意味なものだろう。


「・・・うん、ありがとうね」


起き上がり早々に立ち去るコイツを呼び止める。


「何があったの」


「"何か"じゃなくて"何が"、ね・・・」


「ただの体調不良じゃない事なんて私でも気づいたんだもの。あいつらが気付かないはず無いでしょ、あいつらにも言えないこと・・・?」


大切な仲間じゃないの、と続けると震えた声が返ってくる。


「仲間って言うのも便利なもんじゃないよ。大切過ぎてこの関係が壊れるのが嫌で話せない事だってある」





「なら、私は・・・?」


この言葉はあまりにも恐ろしく、自然と紡がれた。


水嶋の目が見開いたのが分かる。