私は‪✕‬‪✕‬を知らない I






「水嶋は休み?」


翌朝、校門の前で待ち合わせるもののいつもの顔が1人足りない。


「うん、調子良くないから休むって」


「昨日あんなに元気だったのにな」


「ふーん」


確かにそんな素振りなかったが・・・。


そんな事もあるだろうと軽く考えていた。





そう考えて早2日。


「今日も奏は休みか」


「一応昨日家に寄ったんだが、出てこなくてな」


帰りに今日も勉強会を行うが誰もが身に入らない様子なのは見て取れた。


「連絡も最低限ですしね」


「まあ明日にでも元気に登校してくるだろ!」


その言葉とは裏腹に水嶋は更に1週間、その顔を見せる事がなかった。





「奏くんどうしたんだろ・・・」


移動教室のため中央廊下を渡っている最中だが、この2人は目に見えて元気がない。


あれから一切水嶋の顔は見ていない。


騒がしい奴だが、居ないとこうも静けさが嫌になるもんなんだな。


これがただの体調不良ではないことを全員が気付いている。


ふと窓の外に視線をやれば僅かに銀色が視界に入る。


「・・・!ごめん、次の授業休むわ!」


「ましろ!?」


気の所為かも知れない。


それでもお前だったら。今ここで捕まえなきゃいけない、そんな気がするんだ。


私は急いで銀色の元へと走って行く。