私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「・・・綾波なんでそんなに頭いいんだ?」


「ん?」


「俺、綾波がノートどころか教科書開いてるとこさえ見たことないんだけど」


ペンを回しながら不貞腐れる瑠璃川に、確かにと優里は続ける。


「ましろん家で勉強するタイプでもなさそうだよね」


なんでと言われてもなぁ。


「知りたい?」


そう問えば3人とも首を揃えて頷く。


「なら、赤点回避したら教えてあげる」


まったく参考にならないと思うけど、と付け足すも目を輝かせるこいつら。


まぁ、ひとまず集中力の問題はこれで解決したと言えるのかな。そう言い聞かせる事にして、勉強会を続ける。





「海と夏祭りは決まりだよな」


「ましろちゃん水着と浴衣ある?」


「そういえば持っていないわね」


「それなら一緒に買いに行こうよ!」


「なら夏休み入ったらモールに行くかー」


谷垣が作ってくれたご飯を食べながら夏休みの予定を立てる。


私がそこにいるのが前提で進められるもんだから困るような嬉しいような。





これが、夏で無ければどれだけいいか・・・。





今年も嫌でも来てしまうんだ。





うざったいくらいに暑く輝いた夏が。