「はぁ・・・」


月明かりが照らす中、身体をベッドに沈める。


時刻はとっくに23時を過ぎている。流石に疲れたな。


今朝からの出来事を思いだし更にため息が出る。





悪いことばかりではないけど・・・。


片手にあるうさ耳のケースを付けたスマホを掲げる。そこにはMというイニシャルと、雪の結晶のキーホルダーがぶら下がっている。





「自分から、踏み込んでしまったな・・・」


これを見て思いだすのは辛い過去を話してくれた優里。


あんなにお互いのラインを超えないよう気をつけていたのに。一歩踏み出してからは早かった。


きっとあたしもそう。あいつらにはいつか暴かれてしまう、そんな気がする。


その一歩を受け入れてしまえばあっという間に。


それほどまでに私は既にアイツらに絆されている。それを否定するほど私は無自覚では無い。


あの場所を意心地がいいと感じてしまっているのだ。





だからこそ願う。


過去に囚われて無様に生きている私を。


醜い私をどうか見ないでと。


どうか暴かないでと願う。






「私が居なくなる来年の夏までは───────」





願いを抱き、そっと瞼を閉じた。