私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

ちらりと視線を向ければ驚いた顔で私達を見る彼女がそこにいた。


何故そんなふうに見られているんだろうか。


「えっと、同じクラスの人よね。ここで絡んでていいわけ?次の授業始まっちゃうんじゃない?」


こちらから声を掛けなければ状況が変わらない様子だった為、丁度私の席の近くに居た二人だと思い出し話し掛ける。


記憶力はいいんだ。


「っそうだよね、まずは自己紹介かな?綾波さんの言う通り同じクラスの春野 優里です!それで、こちらは瑠璃川 文(るりかわ ふみ)くん」


こちらに戻ってきた春野さんはご丁寧にこいつについても教えてくれた。


「つーか次の授業って、もう放課後だぞ」


「放課後って本当に?」


今度は私が驚く番だ。何言ってんだこいつという冷ややかな目を向けられながら慌てて鞄からスマホを取り出し時刻を確認すればとっくに16時を迎えていた。


流石にこんな時間まで昼寝するとは思わなかった。
先程の体の音なども納得だ。


これじゃあいつだって生徒より先に帰ってやるわ!なんて言って帰っているだろうな。


また明日出直すかな・・・。


そうなればもう学校には用はない。


「あなた達私に何か用があるの?無ければとっとと帰るわ」


わざわざ私の側まで来たんだ何かしらはあるんだろう。