私は‪✕‬‪✕‬を知らない I









「この件であたしは関わりがあまりない男の人が怖くなっちゃって、皆もこれまで以上に過保護になったんだ」


はは、と零れた声はかすれていた。


ずっと話してたから喉が渇いちゃった。


でも不思議・・・、いつもこの時の事を思い出すと震えちゃって息もしづらいのに。


相手がましろちゃんだから?





「話してくれてありがとう。・・・辛いこと、いっぱいあったよね」


ましろちゃんがその綺麗な目であたしを写しながら目元を拭う。


その手はとても冷たくて、触れた瞬間はびっくりしたけど熱くなっている目元にはむしろひんやりしていて気持ちよかった。


話してる途中で涙はとっくに止まったはずなのにまた一粒の涙が零れた。


辛いこと・・・。


うん、いっぱいあった。


皆が居ないと東のメンバーの子達とまともに喋れなかったり、最近までお父さんと話すのも怖く感じることがあったり、辛かった。


ふとした瞬間に感じる怖さや罪悪感が消えちゃえばいいのにって何度も思った。





だけど、ましろちゃんに話を聞いてもらって凄く心が軽くなった。


あたしを軽蔑するどころか、いつもと変わらない優しい目でまだ見ていてくれる。


「ううん、こちらこそありがとうね」


あたしって、幸せ者だなぁ。


こんな素敵な女の子が友達でいてくれるんだもん。