私は‪✕‬‪✕‬を知らない I









瞼を開けたらそこには真っ白な天井があった。


倉庫とは違って暖かくて、機械音もする・・・。


「ここ、病院・・・?」


まだはっきりしない頭で上半身を起こしながら辺りを見渡す。


「優里!?」


顔を動かした先には病室の入口。そこには今来たであろう皆とママの姿。


ベッドの横に来るのをあたしはぼーっと眺めていた。


「もう大丈夫なのか?」


龍二くんがあたしに向かって手を伸ばす。それはあたしの事を心配してだったのに。





あたしは、


その手が、


あたしを捕まえるあの手に見えて、





「───い、嫌っ!」


ぱんっ!と病院に響く。





「来ないで、やめて、!!」


震える身体を抑えながらベッドの上で小さくなる。それでも嫌な汗と震えは止まらない。


「優里」


あたしを抱きしめる温もりと香りがはっとさせる。


「怖かったね、もう大丈夫だから」


痛いくらいに抱きしめてくるママの声が聞こえてきて、心臓のあたりからじんわり熱が広がっていく。


「皆ごめんね、今は出てもらえる?」


そんな声が聞こえた気がしたけどあたしは泣き続けた。





思う存分泣いた後泣き疲れてまた眠ってしまったみたい。次に目を覚ましたのは数時間後だった。


少し落ち着いたあたしにママは言葉を選びながら説明してくれた。


結果的にはあれ以降男の人達には何もされなかったみたい。


あたしは気を失ってしまったけどあの時確かに皆が来てくれた助けてくれたんだって。


それなのにあたしは・・・。