私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

携帯だけを持って必死に言われた場所へ足を動かす。


家を出てすぐに息は上がったけどそれでも前へと進んだ。


走り続けて数十分。辿り着いたのは港にある大きな倉庫。


黒い車が横に止まってるからここで間違いないと思う。


「・・・っ、」


着いたのはいいけど愛ちゃん繋がらない。


どうしよう。愛ちゃんにも何かあったんじゃ?





怖くて今すぐにでも帰りたいけど、文くんも愛ちゃんも同じ気持ちのはず。重たくて仕方がない足を一歩一歩動かす。


夕日も既に沈みかけているため倉庫の中は暗くて分かりづらい。





一歩倉庫に入った所で携帯が鳴る。


倉庫内に着信音が響いたから凄くびっくりした。


ドクドク鳴る心臓を抑えながら龍二くんの文字が表示される携帯を操作する。


『優里?』


「え?─────文くん?」


電話に出ると今ここに居るはずの文くんで。


頭の中がはてなで埋まる。


『愛がトイレに行ったきり戻って来ないんだ。変な奴らに絡まれたりもしてさ。連絡付かないし何か知らないか?』


聞いてた話と違う。


どういうことなの?


ますます分からずにいるものの、ひとまず引き返そうと振り返る。


それと同時だった。


衝撃と共に後頭部に痛みが走ったのは。


「うぅっ、」





携帯が地面に当たって転がる音を聞きながらあたしはそのまま倒れてしまった。