私は‪✕‬‪✕‬を知らない I







勉強机の上に置いていた携帯が鳴ったのは次の日の夕方。


携帯を開いて画面を見れば愛ちゃんの文字で首を傾げる。交換だけはしてたけど、連絡なんて1回もしなかったのに・・・。


デートで何かあったのかな?


不安になりながら電話に出る。


『優里ちゃん!?』


「愛ちゃん?どうしたの?」


焦った様子の声に一気に不安が募る。


『文がっ、男の人達に連れてかれちゃったのッ!』


その言葉にサッと血の気が引いたのは今でも覚えてる。





「ま、まって?どういうことか聞いてもいい?」


『私もよく分かんなくて・・・、トイレに行くために少し離れたの。それで戻ろうとしたら何人かに黒い車に乗せられそうになってる文が見えてっ、急いで走ったけど間に合わなかったの』


その後はこうだ。


急いでタクシーを捕まえてその車を追っている途中で、この後どうすればいいのか分からなくて電話したと。


『文にずっと連絡してるけど繋がらないの!』


愛ちゃんは泣きながら必死に伝える。


誘拐犯?それとも最近絡んでくる人が多いって言ってたし、その人達の仕業?


考えても分からないし、どうすればいいのっ。


「愛ちゃん、その車どこに向かってるか分かる?」





場所を聞いたあたしは急いで家を出た。


ママが困ったように呼んでた気がするけどそれどころじゃない。


この時は姫でもなんでもなかったから、皆に連絡をしたり大人の人に相談する事なんてこれっぽっちも頭になかった。