私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「興味ないわけじゃないけど、それだけかな」


「そう、なんだ」


愛ちゃんにとってはこういう話も、この街に居る限りは最低限知っておかないといけないからって認識なのかな。


さっき愛ちゃんの話題が出たばかりだから警戒しちゃったけど気にしすぎなのかな・・・?


話題を変えたくてどうするか悩んでいるとふと何かが目に入る。


「・・・マニキュアしてるんだね」


その手には鮮やかな赤があった。


スカートも折り曲げず制服着てるし、先生と話す時もすごく丁寧で真面目なイメージがあったから意外かも。


「そうなの。綺麗でしょ」


「うん、よく似合ってる」


意外だったけどよく似合ってるのは本当。


本心でそう答えれば嬉しそうに頬を赤らめ目を細める愛ちゃん。





・・・はじめて愛ちゃんの素をみた感じがする。


愛ちゃんにとって大切なものなんだろうな。


さっと視線を廊下の先へ向ける。そこで予鈴が鳴るけど、教室まではまだ距離がある。


「い、急がないと!」


あたし達は走って向かう。





あたしは愛ちゃんのことを全然知らなかったんだ。


愛おしいと微笑むその瞳がどっぷりと黒く濁っていく事に気付きもしないで。