「第2音楽室?」


そこには黒いペンでバッテンを書かれた第2音楽室の文字が。


使われてないのか?


なら他の教室みたく外せばいいのに。


そんなことを疑問に思っていれば、






「綾波さん?」






鈴のような声が私を呼んだ。


その声を辿って振り向いた先には2人の女子生徒がいた。


茶色のふんわりとした肩まである髪がとても似合う可愛らしい女の子と、黒髪に深みのある青のインナーカラーを入れ前髪をヘアピンでクロスするようにとめている女・・・の、子?あれ、この学校女子生徒ってズボン選べるっけ?


下着が見えそうで落ち着かないし私もズボンがいいんだけどそんな事一言も言われてないぞ。


その間にも大きく手を振りながらこちらにやってくる茶髪の子。なんだろ、この2人さっき見た気がする・・・。


はて、どこだっけか。


記憶を辿り思い出そうとすれば私の側まであと数歩のところで体が傾くのが目に入った。


「わっ、」


「優里!」


後ろを歩いていた子が名前を呼ぶ。


ここで何もしないってのもな・・・。


「・・・、?」


「へーき?」


「へっ、あ、ありがとう!」


勢いのあるお礼とともにバッと離れていく優里って子。


そんなに俊敏に動けるなら何も無いとこで転けなそうだけど。