皆のもとに着く頃には息は上がってて奏くんに笑われちゃう。


運動できるからってもう!


「先生なんだって?」


文くんの言葉になんて返すか悩む。


「テスト、点数酷くてもっと頑張りましょうって言われちゃった」


「来年受験だからな。先生達も色々気にかけてるんだよ」


「昴は旭ヶ丘以外を受けるのか?」


「成績維持を条件に旭ヶ丘に行ける事になりました」


「おぼっちゃまは大変だねー」


良かった、話そらせたみたい。


それからは今日の給食はカレーで嬉しかったとかそんな話をしながら家とは真反対の方向へ歩いてく。


これは夏休み明けてからあたし達の日課になってた。





「兄貴」


旭ヶ丘高校に着いて第二音楽室の扉を開けた朔夜くんはただそれだけを口にした。


「今日も誰にも絡まれなかったかい?」


呼ばれた本人、朔夜くんのお兄さんの輝久(てるひさ)さんはのんびりとした声で優しい笑顔を向けてくれる。


「この前正式に幹部になったからな。んな馬鹿居ないだろ」


朔夜くんと昴くんの頭を乱暴に撫でるのは副トップさん。


「そもそもトップの弟に手出してくる奴が居たのが驚き」


中学生のあたし達がここに来れる理由。夏休み中に元々関わりのあった東の幹部に朔夜くんと昴くんがなったから。


そして、関わりがあった理由。それは副トップさんの言う通り輝久さんが東の現トップだからだ。