「朔夜くんに昴くん、奏くんの3人は今回の事で話すことがあるからって少し外に出ててね。龍二くんと文くんはその間にってご飯の用意をしてくれてるの。もうこんな時間だからましろちゃんも食べて行って?」


ぐるぐる、


包帯は巻かれていく。


「・・・り、」


「・・・」


「ゆ・・り、」


「・・・」


「優里っ」


「!」


「・・・これじゃ手を動かせないわ」


包帯が何重にも巻かれ固定されてしまっている腕を分かりやすく揺らしてみる。


「あ、あはは・・・、ごめんねやり直すね。本当、何やってるん、だろ、本当にっ、・・・ごめ、」


声が震えたまま俯いてしまった為どんな表情をしているのか、こちらからは確認ができないがぽたぽたと雫が零れたため容易に察する事ができた。


入って来た時から違和感はあったが早々に指摘するべきだったか。


「優里が謝る必要なんて何処にもないのよ?」


「あるよっ、あたしましろちゃんが男の人に捕まった時、怖くて、固まって何も出来なかった・・・。そもそも、あたしが誘わなかったらこんな事も起きなかったのに、」


「私はこんな事が起こるかもしれないって承知の上で優里の傍に居るのよ?誘ってくれたのだって凄く嬉しかったんだからそんな風に言わないで欲しいわ。そもそも今日行こうって言ったの私だしね?」


「だ、けど・・・」


空いている手を頬に滑らせそっと顔を上げる。見えた顔は涙でぐしゃぐしゃだ。


ああ、この子は私の事を思ってこんなに泣いてくれているのか。