私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「すめ、らぎ・・・?」


そこに居たのは見慣れた金髪。


普段の無表情はどこにやら。焦りを浮かべた様子にはらしくないなと感じた。


呆気にとられて固まっている私達と目が合ったかと思えば次の瞬間には上にあった体重は消えていた。


「う"ぁあ"!」


男の呻き声で蹴り飛ばされたということに気づく。







男が吹っ飛ぶと同時に手の拘束が外れたため胸元を抑えながら体を起こしいつの間にか傍にいた皇を見る。


「大丈夫か!?」


お前が声を荒らげるとこなんて想像もできなかったんだけど・・・。


その瞳いっぱいに私を映すその姿に困惑する。


「なんでいるわけ・・・」


私の言葉に怪訝そうにする皇。私は何か失礼な事を言ってしまったんだろうか?素直に疑問を投げただけなんだが・・・。


「・・・これ着てろ」


私の問いには答えず自身が着ていたブレザーを寄越す。そこから残りの二人が伸びるまではそう時間が掛からなかった。


人を殴ったりする時は顔色ひとつ変えないくせに。


あの顔が頭から離れない・・・。ギュッとブレザーを握る手に力が入った。


「その血どうした?」


ぴたりと動かないのを確認してこちらに寄る皇の言葉に心当たりがなく、はてなが浮かぶ。視線の先は私の胸元で辿るように私も視線を下ろす。そこには血がべっとり付いていて慌てて手のひらを確認する。


包帯を巻いたところからひとつの線が浮かび上がりじわじわと血が滲んでいた。