私は‪✕‬‪✕‬を知らない I






「・・・ん、」


頬に当たる冷たい感触で目を覚ます。


「・・・どこだここ」


体を起こし辺りを見渡せば見覚えのない空き部屋。埃臭さもあり普段は使われていない事だけが分かる。


状況としてはそんな部屋に後ろで両腕を固定され監禁されているといったところか。


出入口は近くのドアのみ。割れた窓はあるがあくまで換気用なのか人が通れるサイズではない。


鞄は・・・、一緒に持ってくるはずないよな。


扉を蹴り飛ばそうとも思うが先程嗅がされた薬品のせいか立ち上がる事もままならない。


強く嗅がされたせいか頭だって痛い。やってくれた奴にはもう一発入れてやりたいところだ。


「はぁ、」


どうしたもんかな。


小さな窓からすっかり暗くなった外を見ていれば扉の開く音がした。


「よぉ?お目覚めかお姫様?」


そこにはチンピラが3人。


ニタニタと気持ち悪い笑みに舌打ちをし視線だけ向ける。


「あんたら南の人間?」


「ほー、よく分かったな?外部の人間の可能性だってあるだろうによ」


「外部の人間ならわざわざ薬品を組み合わせたもの使わないでしょ。特に学校で手に入るような薬品を使ってまでね」


これだけで北と南、西のどれかには絞れた。先日の話で南と僅かに西の可能性。そして西はそんな面倒な事はしないため外れる。