私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

「・・・優里は男の人が苦手?」


「!」


はっとしたように顔を上げる。当たりか。


この様子じゃ苦手というレベルではない。何かトラウマになるようなことがありそれが尾を引いている状態だろう。


「いつから分かってたの・・・?」


「球技大会の時からかしら」


「そんな前から・・・。いつかバレちゃうんだろうなって思ってたけどやっぱりましろちゃんは凄いな」


いつだかのように困った様子で笑う優里。見てていいものでは無いな・・・。


「理由とかは聞かないし深追いする気もないのよ。ただ、それだけは分かってた方が私的にはありがたいなって」


「違うの!話したくない訳じゃないっ。ただ、できるなら人が多い場所じゃない方が嬉しい、です。・・・ましろちゃんには話せる。ううん、聞いてもらいたいなって思ってるんだ」


「そう。優里の話ならいつでも聞くわ」


「・・・ありがとう」


先程の言葉は本心のようで私の返事に対して安心しているようだった。それがとても愛おしいと思う。


それからすぐにやって来た料理を食べながら他愛のない話をした。


今回のテストも自信がないらしく返って来るのが嫌だとか、もうすぐ夏服に制服も変わるね等微笑ましいものだった。


早々に食べ終わった優里は待ちきれなかったのかスマホケースを先程買ったものに変えたりして。




この時ばかりは望んでいた平凡な学校生活を送れているなと実感した。