私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

困惑の中に嬉しさもあって感情がぐしゃぐしゃだ。


「お前のおかげでこれまでより皆楽しい時間を過ごせてる」


・・・そんなこと、面と向かって言うなよ。


耳が熱くなるのを感じてどうかこの夕日でバレないようにと願った。


薄々思っていたがこいつには羞恥心というものはないのだろうか。


「・・・1つ聞いていいか」


「・・・内容によるわ」


自分が思っているよりも浮かれていたんだ。


じゃなきゃこんな感情になることもなかった。




こんな、上げて落とすような、






「お前は生きることを諦めているのか」






残酷な言葉で。




時が止まった。この言葉が合う場面がまさに今だ。


心音がうるさく、視界が揺れる。


なんで?いつから?


こいつと出会ってまだ2ヶ月だぞ。そんなにも分かりやすかっただろうか。


・・・違う、こいつだからだ。


こいつは、────────同族なんだ。


「っ、」


分かっていたじゃないかあの目を見た時から。


近寄り過ぎたらいつかバレることなんて。流石にこんなに早いとは予想外だが。


「・・・悪い、答えが欲しいわけじゃないんだ」


答えられるはずなんてない。私は嘘が嫌いだから。


否定、できないから。


こいつの傍は危険だ。全てを見透かされている気がしてならない。